Sigh
Shiki
1. 黒い祈り (Kuroi Inori)
2. 黒い影 (Kuroi Kage)
俺を追い回す影
人の目には見えない影が
絶えずぴたりと背後にはりついて
最後は必ずその手に落ちる
背中に感じる冷たい吐息が
最近ますます俺を悩ませる
ここまで気配を見せつけられたら
気づかぬふりももはやできはしない
あまりに怖くて目を背けてきた
だけどその日は必ずやって来る
生まれたその瞬間から
そいつは俺にぴたりとはりついて
隙あらば寝首を掻いてやろうと
今か今かと待ちわびていやがる
これが呪いではないのだとしたら
一体誰が救われるのだろう
これが悪夢ではないのだとしたら
一体誰が報われるのだろう
あまりに怖くて目を背けてきた
だけどその日は必ずやって来る
誰も逃げられぬお前も俺も
この世に生まれてしまったからには
ついてまわる
黒い影が
俺を狙い
昼も夜も
それが今日ならどうする?
それが嘘ならどうする?
それが今日ならお前はどうする?
俺はどうにか生き延びてきたが
ついてまわる
黒い影が
あの世からの
黒い影が
3. 生者必滅 (Shoujahitsumetsu)
奇跡次第と言うのなら
悲劇以外に何がある?
生滅遷流
俺にはとても信じられない
癒す手立てか気休めで
諦めるのか今すべて
生者必滅
俺はそれでも死にたくない
俺はただ怖い
それはまだ来ないけれど
だから言ったじゃないか
だけどお前は聞こうとしなかった
善、悪、真、偽
すべてがただの妄想
神などいやしないから
悪魔もいるはずもない
だから今は
喜びさえも苦痛だけど
だけど普通に生きられないから
寂滅為楽
俺はとても辿り着けない
俺は死が怖い
それは仕方ないけれど
俺は悟れない
悟りたくもない
俺は悟れない
悟りたくもない
俺は死が怖い
俺は死が怖い
4. 屍 (Shikabane)
いるはずもない神に手を合わせ
祈りたくなる気持ちもわかるが
避けられぬ運命に目を回せ
救われるなら命も懸かるか
人が死ぬのを見たことがあるか?
人が物に変わる瞬間を
俺は耐えられそうにはないが
抜け殻、生きる気失せたら わかるか
過ぎてしまえばすべてが束の間
儚い夢に目を向けすがるが
誰も望まぬゴールに背を向け
始まりの合図すでに手遅れ
幸せなやつなどいるものか
いつか無の闇に飲まれるのに
幸せ、今だけ 呪われし定め
屍 窪んだ目を光らせ
俺は過ちを繰り返しただけなのか
俺は過ちを繰り返しただけなのか
だけど
俺は
永遠の命が欲しい訳じゃない
人が死ぬのを見たくはないから
人が物に変わる瞬間を
ならば自分を無に帰すしかない
いるはずもない神に手を合わせ
祈りたくなる気持ちもわかるが
避けられぬ運命に目を回せ
救われるなら命も懸かるか
そしてまた過ちを繰り返す
決して戻らぬ過去を振り返る
そしてまた過ちを繰り返す
俺は過ちを繰り返した
俺はまた死を作り出しただけなのか
俺はただ死を作り出しただけなのか
だけど
俺は
すべての灯が消え
闇に変わる時
すべての怒りは
どこへ行くのだろう
5. 殺意~夏至のあと (Satsui - Geshi no Ato)
人の皮をかぶったその悪魔に
もし踏み荒らされたのならさすがに
殺意だけ湧いてくる瞬く間に
自らこの手を下すもやむなし
わずかに残った涙も無くなり
かすかに残った理性も飽くなき
復讐への糧と変わり殺害
生きがい、いきなり改心あるまい
涙枯れ果て
胸は張り裂け
獲物を求めてうろつく獣は
神を語るただその偽物か
見世物、寝言は寝て言え、生贄
入れ知恵、下らぬ戯言、ママゴト
人のことなら吐ける綺麗事
悲鳴とも叫びともつかぬ声で
求めた助け、手向ける花、罠に
落ちろ、滅びろ、消え去れこの世から
涙枯れ果て
胸は張り裂け
お前を殺す
必ず殺す
お前を殺す
この手で殺す
今更するのかなりふり構わず
命乞い、死の臭いに怯えて
お前は生まれてくるべきではなく
今すぐこの世界から消えるべき
しばしの地獄で、死は死で償え
ネズミならばネズミらしく振る舞え
震えて暮らせその時が来るまで
追い詰めいたぶるこの気が済むまで
涙枯れ果て
胸は張り裂け
お前を殺す
必ず殺す
お前を殺す
この手で殺す
お前は殺す
必ず殺す
お前は殺す
この手で殺す
春に今が春であることを知るものはいない
それは夏になっても同じ
今が夏であると知るものはいない
夏が終わって初めてわかる
秋が来て初めてわかる
春と夏は去ったことが
秋が来て初めてわかる
すでに手遅れだと
秋が終われば冬が来る
冬が終わればもう何もない
冬すら来ずに終わるかもしれない
6. 冬が来る (Fuyu ga Kuru)
もう終わりだ
一度気づいたら
もう終わり
決して戻れない
咲き乱れる花もそうと知らずに
やがては萎れ枯れゆく
それを見てるこの俺も
何も変わりはしない
もう終わりだ
時は戻せない
もう終わり
出口も無い
救われるために嘘を信じるか
そもそも目を背けるしかないのか
どうすればいい、誰か教えてくれ
どちらも俺にはできそうにない
俺だけじゃ無い
そういうものさ
わかっているけど
やっぱり俺は怖くて仕方がない
春には気付かず
夏も知らず
秋が来た時は
すでに遅い
秋が終われば
冬が来て
冬が終われば
もう何もない
それは遠い先のことと
思い込んで生きてはきた
だけどそれはいつのことか
今日か明日か遥か先か
だけどそれは必ず来る
誰も逃げることはできず
今日か明日か遥か先か
それだけの違いしかない
今日か明日か遥か先か
今日か明日か遥か先か
いずれにせよ逃げられない
どうせ俺も逃げられない
必ず来る
もう終わりだ
すでに手遅れ
もう終わり
何もできない
もう終わりだ
諦められるのか
誰か教えてくれ
救われるのならば
誰か助けてくれ
7. 生苦 (Shouku)
決して目覚めぬ眠りへと
ひたすら歩み続ける
そして今 地獄の果てに
恐怖を捨て きれない
病苦
この恐怖 この老軀
すべて行苦
恐怖
老苦
この恐怖 五蘊盛苦
すべて生苦
恐怖
シカバネ 生かされ 今だけ
世界の気まぐれ だけで
そして今、地獄の果てに
記憶を捨て きれない
病苦
この恐怖
楽境壊滅
すべて生苦
惨苦
老苦
この恐怖 五蘊盛苦
こんな仕打ちは耐えられない
誰も逃げられやしないのに
誰も避けられやしないのに
記憶の中では
地獄の中では
最後はどうなる
知りたくないけど
知るしかないのか
知りたくなくても
その日は遠くない
残りは多くない
逃げ切れたやつなんて
いるはずもない
背後に迫る
あの黒い影
何て残酷な
8. 黒い鏡 (Kuroi Kagami)
変わる風景に
戸惑う俺は
覗き込んだ
鏡の中
見える黒い影
消えぬ黒い影
9. 真夜中の怪異 (Mayonaka no Kaii)
ある夜ふいに 過去が佇む
漆黒の 闇夜に紛れ
そしてついに 真夜中の悪夢
異形の 神の戒め
これが夢でないのだとしたら
一体俺は何を見たのか
未知の力に
叩きのめされ
軽い目眩を
覚えながらも
確かに
決して起こりえるはずもない
ならば俺は何を見たのか
あまりのことに
打ちひしがれて
軽い目眩を
覚えながらも
確かに
何もできはしない
何も知れはしない
何も見えやしない だけど
神もいやしない
神もいやしない
闇もありゃしない
神もいやしない いても
何もしやしない
人の知を超えた
世界に触れたら
俺の心は
壊れてしまいそう
10. 冬至の朝 (Touji no Asa)
Lyrics in plain text format